米国が利上げを続ける中で、逆イールドというものに注目が集まっています。
米国の景気後退を予測するうえで重要な逆イールドについてまとめました。
逆イールドとは?
「短期金利が長期金利を上回る状態のこと」を逆イールドいいます。
普通はあり得なさそうですよね?
しかし過去の米国では何度も発生しています。
しかも、過去に逆イールドが発生した場合は1年強で景気後退期が訪れていることから、景気後退のサインとされています。
長短金利はそれぞれ、
- 長期金利:10年国債金利
- 短期金利:2年国債金利
を指しています。
※ 2018年9月1日 日経新聞電子版より
現在、米国10年債利回りが3.04%、米国2年債利回りが2.81%と、長短金利差が0.23ポイントなっており、金利差はかなり少なくなっております。
逆イールドの発生はすぐかもしれません。
なぜ逆イールドは景気後退のサイン?
金利を決定する要因はいくつかありますが、基本的には以下の通りです。
- 短期金利:中央銀行の決定する政策金利に影響
- 長期金利:マーケット参加者の予測に影響
金利は、一般的に長期金利が短期金利と比較して高くなる傾向があります。
銀行の定期預金も預入期間が長い方が金利が高いですよね? そんなイメージです。
(現在は超低金利のため1年定期と5年定期の金利が同じ銀行もあります)
しかし、マーケットが将来の景気後退を予測することで短期金利よりも市場の影響を受けやすい長期金利が低下してくると、逆イールドが発生します。
つまり、逆イールドとは将来の景気後退予測がマーケットから発生しているということです。
そのため景気後退のサインとされています。
逆イールドは必ず景気後退をもたらすのか?
逆イールドの発生は歴史的に景気後退のサインとされていますが、必ずしも「発生後すぐに」景気後退をもたらすものではないようです。
以下、「ブルームバーグニュース日本版」からの一部抜粋です。
ゴールドマンのデービッド・メリクル、ダーン・ストゥリュイーベン両氏はリポートで「逆イールドとリセッションの過去の相関関係は目を見張るものがある」と述べた上で、「しかし、誤解を招く可能性もあり」、米国のリセッション入りリスクは「当面、わずか」にすぎないとの見方を示した。
米長短金利差縮小でもリセッション入りリスクわずか:ゴールドマン https://t.co/QZV5V5IihI pic.twitter.com/KwkiJeCjgl
— ブルームバーグニュース日本語版 (@BloombergJapan) 2018年8月23日
米国の景気後退がいつなのかは誰もわかりませんが、もしかしたら来週にも訪れるかもしれません。
わたしは米国株に投資はしていませんが、米国に景気後退が訪れると日本株にも大きな影響があります。
フルインベストメントの看板は下ろすつもりはありませんので、これからの投資対象はは「内需株」「有配当株」に少しずつシフトしていこうかと思います。
2018年12月3日に逆イールドが発生!
※ 2018年12月6日(木)追記
2018年12月3日(月)に米国5年債金利と2年債金利が逆転し、逆イールドが発生しました。
【米景気後退の予兆か 長短金利11年ぶり逆転】
米債券市場で期間が長めの金利が、短めの金利よりも低くなる「逆イールド」と呼ぶ逆転現象が起き始めた。将来の景気後退の予兆とされる動きで、4日に米国株が急落する要因となった。
米景気の先行き懸念がじわじわと強まるなか、目先は米政策金利の引き上げが続きそうなことなどが背景にある。
米長短金利の逆転を受け、景気の先行きを不安視した売りが株式市場では膨らんだ。4日の米市場ではボーイングやキャタピラーなど中国をはじめ世界経済の動向に敏感な銘柄の下げが目立った。「逆イールド」というキーワードに反応して機械的に売りを出すように取引プログラムを設定していたファンドもあったとみられ、米ダウ工業30種平均は798ドル安と史上4番目の下げ幅を記録した。
※ 2018年12月6日 日本経済新聞より
マーケットは警戒モードに入ったようです。
しかし、逆イールドはもっと長い金利ともっと短い金利の間で起こったときに話題となるものです。
10年債金利と2年債金利が逆転するくらいで初めて「景気後退の予兆」といわれるのが普通です。
今回の3年債金利と5年債金利が逆転した程度で反応するのは、やや過剰ではないでしょうか?
株式市場が落ち着きを取り戻すには米政策金利の引き上げが早期に打ち止めになるとの見方が広がる必要があります。
今年の12月の米国利上げは確実視されていますので、来年の利上げ動向に要注目です。